いきるをつくる - たべること、きること、つくること、つかうこと、知ること、感じること
編集部日記
2020 / 10 / 30

mumokuteki farm 2020 お米の物語

自然豊かで水が綺麗な京都 美山で

mumokuteki farmが農薬を使わずにお米を育てはじめて、五年になります。

 

 

水の郷百選にも選ばれた由良川の源流である山森川の水が田に入り、山間地域だからこそ寒暖差でお米が登熟し、甘味ある美味しいお米へと育つ。

自然の恵みあってこそのむもくてき米です。

 

 

2020年のお米の実りまでのことを生産者が書きましたのでぜひご一読いただけますと幸いです。

前年2019年は無事に実り、収穫できましたが課題が幾つも生まれました。

2020年は前年の反省を踏まえて農法を見直し、新たに挑戦。

また昨年は「収穫量」に重きをおいた年で、今年は「収穫量」+「味」「品質」にもこだわりお米を育てました。

 

「栽培品種」

まずはmumokutekiの定番である「こしひかり」「日本晴」。
2020年はじめての栽培となる「ミルキークイーン」「黒米」が加わり、四つの品種での栽培となりました。

 

 

病害が発生した圃場は植え付けを「こしひかり」から病気に強い「日本晴」にすべて変更。

 

「育苗」 ~苗を育む~

mumokutekiではまず種から苗を丁寧に育て、「田植え」を目指します。

「病気に負けない」「台風や災害に耐えうる丈夫な稲」

この二つを意識してお米の苗を育てました。

特に「病気に負けない」は前年に一部の稲がイモチという病気になったことが大きく、お米を栽培している圃場が3.5ヘクタールあるのですが、その内病気になった圃場が約1ヘクタールあることもあり、より意識が集中します。

種子消毒である「温湯消毒」に加えて「酵素消毒」を今年から取り入れました。

作業として恐いのは「催芽」という芽だし作業。

水温を「27℃」に設定し、均一な芽だしをする。

mumokutekiのお味噌の原料になっている「日本晴」という品種は

この芽だしが上手くいかず結果として芽が出揃わないという事が起き、不安になったことを思い出します。

 

田植えの時期を考えると、この芽だしへの時間がわずかしかなく原因追求と別の方法を何とか「日本晴」を育てられるよう必死に考えました。

「種の状態の管理なのか?水温か?どこに原因があるのだろうか?」と考え抜き、再び、芽だしをするところまでいきつき、無事に芽だしができました。

無事に苗も育ってくれてひとつホッとし、まだまだ気が抜けない束の間。

次は田に苗が根をはるための大切な「田植え」にむけて心が向きます。

 

 

「田植え」 ~稲が根を大地におろす~

前年と比べて稲が田んぼにより早く植え付けられている方が良いのでは、という結論に至り今年は七日~十日ほど早く田植えを行いました。

 

 

田植えは順調に進み、一区切りがつき胸をなでおろそうとの矢先、植え付けた稲が一部の圃場で抜けて浮いてしまう現象、「浮き苗」が起こりました。

原因として考えられるのは田んぼにとって最適な水持ちでの植え付けができていなかったのではないか?

しかし、浮き苗はやり直しができるとしたら、浮いた苗を拾い、手植えで植え付ける。

あきらめることはできませんでした。

大変なことではありますが、大切にひとつの苗を想い田に植え付けました。

こういった経験によって学び、自然と向き合うことで一年に一度しかないお米の栽培の魅力に惹き込まれていきます。

それは、“感動していただける美味しいお米を育てたい”
その一心です。

 

もはや人間だけでなく、様々な生き物や自然環境との深いつながりがあることを農業を通じて知る機会でもあります。

 

「除草」 ~お米にたくさんの栄養を~

mumokutekiのお米作りは自然の恵み、未来への自然環境も考えて農薬を使わない農法での栽培をおこなっています。

そして、この土地でお米自身の力で育つ本来の美味しさに感動していただきたい。

だからこそ、除草という作業も重要だと考え、また地域の安全を考え行います。

「冬季湛水」(冬に田んぼに水をはること)をおこなっており、これにより「抑草効果」が期待されます。

しかし、それでも草の生命力は素晴らしく生えてきます。

特に今年は前年に雑草がでてなかった田んぼからも雑草が生えており、思うようにはいかないか..。と分かっていながらも気を落とすこともある日々でした。

田んぼの畦は草が伸びると背丈が高くなり風通しが悪くなってしまいます。

そのため前年よりも細目に草刈りを増やしました。

また、草刈りをこまめにすることで稲同士の風通しがよくなりカメムシ対策にもなります。

カメムシはお米の養分を吸うのですが、吸うことでお米が黒くなります。

除草機の故障などもあり思うように除草が進まなく、さらに焦る気持ちでいっぱいの夏を過ごしたように思います。

 

「病害」 ~自然の環境が生みだす病~

前年に病害になった田んぼはに特に厳重に取り組みました。

が、それでも気候にはかなわず、病気になりました。

病気は「イモチ」は=「湿気」です。

これは山間地域だからこそ。

ただでさえ長梅雨だった今年、そして湿度が85~95%になるほどの地域。

畦の草刈りを中心に田んぼに風が通るイメージで丁寧に取り組んだものの、病気になるという可能性が無いわけではないことは重々に分かっていても手をかけただけ「なんで..。」という気持ちにもなりました。

ですが、とにかく動くいて稲を守るしかない!との想いで病害防除に取り組みました。

もちろん除草剤ではない方法です。

病害が発生した圃場は前年より、株間広くとる疎植をおこない湿気から守るため風通しをよくしたりもしました。

今の私たちにやれることはやり尽くし、後は稲が“本来持つ力”を信じるのみ。
そして、なんとか持ちこたえてほしい。と願うばかりでした。

 

「味」 ~美味しさへの探究~

前年はやっておりませんでしたが、今年はミネラルである「海水塩」をすべての田んぼに入れました。

これによってより甘味が増えて、美味しいお米になるのではと新たな試みです。

しかし、塩を入れることで「雑草」も促進されてしまいます。

ですので入れるか入れないか..と最後の最後まで悩みましたが

「より美味しいお米で実ってほしい」という気持ちで今年は雑草が生えるリスクを引き受けた上で入れると決断致しました。

一つ一つが重い決断ですが、

この決断によってどんなお米が実るのか、より美味しいお米を育てるために失敗も成功も未来への道であること。

一年に一度だからこそ、自分たちのお米を信じ、この地域をよく理解し挑みます。

 

「収穫」 ~実りをいただく~

いよいよの収穫のとき。

穂がついた姿、稲が健やかに育っている生命力あふれる景色は言葉では表せない美しさです。

ここまで長かったようであっという間。

実りの収穫と今年一年のことを実ったお米から教えられる私たち自身への収穫でもあります。

 

 

まずはこうして実ってくれたことへの安堵と喜びです。

収穫を終えるまで獣害もあるため、油断はできませんが田んぼで見られる最後の稲の姿に
これまでの一年にあたる物語を読みかえすときでもあります。

 

 

収穫ははじまりから収穫する機械(コンバイン)が思うように動かなくなるトラブルも起き…焦りに焦りました。
「ここまでやってきて収穫ができなかったのでは」との想いをくみとってくださる地域の方々には
本当にいつもお世話になり、お蔭様で無事に収穫という実りをいただくことができました。

 

「まとめ」 ~一年の物語~

前年の収穫量は8tでしたが、今年は9.1t収穫することができました。

三年前は1.8tと今年を含む二年は有難い収穫量ですが、これまでいつも快くご指導くださる福井県若狭で田んぼをされている師匠でもある保志さんや地域の方々、仲間など皆さんの力をお借りしてここまでと今年の実りである結果があると思います。

 

 

そして、「やったぞ!」という達成感。

どんな結果であったとしても、やれるだけやり尽くせたか?はとても大切。

私自身は農業は今年で四年目になります。

はじめは「セオリー通りやればできるだろう」とあまくみていましたが自然の力は不可抗力なことだらけ。

そしてまだまだ分からない事も多い。

そんな中でのお米作りは失敗の連続ですが想いは本当に美味しいお米を届けたいという気持ちでやってきました。

 

 

一人でも多くの方にご賞味して頂けると大変嬉しく思います。

長きにわたりお読みいただき光栄です。

有難うございました。

 

mumokuteki farm 農業  

雫 耕輔(shizuku kosuke)